良質な油とは?肉の脂と青魚の油の違い
※このシリーズは専門医から教わったことをコラムにしてます
〜DHA・EPAから考える、毎日の脂質の選び方〜
「身体のためには、どんな油を選べばいい?」
「お肉の脂より魚の脂の方が良いと聞くけれど、なぜ?」
「DHAやEPAはサプリでも摂れるけれど、魚を食べた方がいいの?」
健康や美容を意識するようになると、「油=できるだけ控えた方がいい」と考えてしまう方もいるかもしれません。
しかし、油、つまり脂質は私たちの身体に必要な栄養素の一つです。
大切なのは、ただ「油を減らす」ことではなく、どんな油を、どのような食品から摂るのかを考えること。
今回の医学対談では、肉と青魚のどちらを選ぶとよいのかという質問から、「青魚の油」について興味深いお話を伺いました。
先生がすすめていたのは「青魚」
対談の中で、
「肉の脂よりも、青魚の方がいいと言われたのですが、その考え方は合っていますか?」
と質問したところ、先生は、
「めちゃめちゃ合っています。」
と答えられていました。
そして、難しい栄養学の話からではなく、生き物の特徴を使って分かりやすく説明してくださいました。
先生が例に挙げたのが、
牛、豚、鳥、魚です。
牛は比較的ゆっくり動く。
豚は意外とよく動く。
鳥は飛ぶことができる。
そして、イワシ、アジ、カツオなどの青魚は海の中を素早く泳ぎ続けています。
先生はこうした違いを、
「速く動く生き物の方がエネルギーを使っている、とイメージすると分かりやすい」
と説明されていました。
これは脂質の科学的分類そのものを説明したものではなく、先生が食材選びを分かりやすく伝えるために使われていた例えです。
青魚に含まれるDHA・EPAとは?
青魚の油について考えるときに、よく耳にするのが、
DHAとEPA
という言葉です。
今回の対談でも、先生はDHA・EPAを「良質な油」の例として挙げられていました。
一般的な栄養学では、DHAやEPAは「n-3系(オメガ3系)多価不飽和脂肪酸」に分類されます。
イワシ、サバ、アジ、サンマなどの魚に多く含まれることで知られています。
脂質というと、
「太りそう」
「できるだけ食べない方がいい」
というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、すべての脂質が同じではありません。
脂質にはさまざまな種類があり、それぞれ身体の中で異なる役割を持っています。
だからこそ、
「油を食べるか、食べないか」ではなく、「どんな油を選ぶか」
という視点が大切なのです。
肉の脂と魚の脂は何が違う?
ここからは、先生の発言そのものではなく、一般的な栄養学として知られている内容です。
肉類の脂には「飽和脂肪酸」が比較的多く含まれています。
一方、青魚にはDHA・EPAなどの「不飽和脂肪酸」が含まれています。
もちろん、
「肉の脂=悪い」「魚の脂=すべて良い」
と単純に分けられるものではありません。
肉にはたんぱく質や鉄、ビタミン類なども含まれますし、魚にも種類によって含まれる栄養素は異なります。
大切なのは、どちらかを完全に排除するのではなく、食生活全体のバランスを見ることです。
一般的にも、飽和脂肪酸を過剰に摂り続けることは避け、魚などから不飽和脂肪酸を取り入れることがすすめられています。
「魚なら何でも同じ」ではない
先生のお話では、魚の中でも特に、
イワシ、
アジ、
カツオなど、
よく動く魚が例として挙げられていました。
一方で先生は、深い場所で生活する魚などとの違いも例に挙げながら、食材によって特徴が異なることを説明されていました。
一般的な栄養学として見る場合も、魚の種類によってDHA・EPAの含有量は異なります。
つまり、
「魚を食べているから大丈夫」
ではなく、
どんな魚を食べているのか
まで意識してみると、食材選びの幅が広がります。
DHA・EPAはサプリより青魚から?
今回の対談では、DHA・EPAについてもう一つ非常に興味深いお話がありました。
先生は、
「DHAやEPAをサプリで摂る場合と青魚で摂る場合では、青魚から摂った方が吸収効率が高いとされています。」
と話されていました。
先生のお話では、その差は30〜40%程度になることもあるとのことでした。
そして、その理由について、
食材には、現在分かっている栄養素以外にもさまざまな成分が含まれている
という考え方を紹介されていました。
科学的に注目されているのはDHAやEPAかもしれません。
しかし、一匹の魚の中に入っているものは、それだけではありません。
たんぱく質やビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養成分を同時に摂ることができます。
先生は、
「単一の成分だけを抽出して摂るより、複合的に食材から摂る方がいい」
という考えを話されていました。
身体は「栄養素だけ」を食べているわけではない
先生は以前の対談でも、食事について面白い例を挙げられていました。
バランスの整った定食を、
目で見て、
口に運び、
噛んで食べる。
それと、
同じ食材をすべてミキサーにかけて摂る。
栄養成分だけを数字で見れば近くても、身体の反応までまったく同じとは限らないというお話です。
食材を見る。
脳が食事を認識する。
唾液が出る。
歯で噛む。
そして食道から胃腸へと食べ物が送られていく。
先生は、この一連の流れも食事を考えるうえで重要だと話されていました。
だからこそ、DHAやEPAだけに注目するのではなく、
「青魚を食べる」
という選択そのものに意味があるという考え方です。
肉を食べてはいけない、という話ではない
ここは特に誤解しないようにしたいポイントです。
先生は対談の中で牛肉についてかなり強い表現もされていましたが、だからといって、
「牛肉は絶対に食べてはいけない」
「肉は身体に悪い」
という意味で捉える必要はありません。
一般的な栄養学でも、肉類は重要なたんぱく質源の一つです。
大切なのは、
頻度とバランスです。
毎日のように脂身の多い肉や加工肉ばかりを食べるのではなく、
魚、
肉、
卵、
大豆製品など、
さまざまなたんぱく質源を組み合わせる。
その中で、青魚を意識的に取り入れていく。
極端な制限よりも、その方が日常生活では続けやすいでしょう。
「良質な油」を摂るために、まず食卓を見てみよう
健康のために何かを始めようとすると、
「サプリを買わなければ」
「特別な食品を食べなければ」
と考えてしまいがちです。
しかし今回の先生のお話を聞くと、もっと身近なところから始めることができます。
例えば、
いつも肉料理ばかりになっていないか。
魚を最後に食べたのはいつか。
魚を選ぶなら、どんな種類を食べているか。
毎日の食卓を一度振り返ってみる。
それだけでも十分な第一歩です。
ここからは一般的に意識したいこと
ここからは先生の発言ではなく、一般的な食生活についてのお話です。
脂質を考えるときは、一つの食品だけではなく、食事全体を見ることが大切です。
例えば、
・魚料理を意識して取り入れる
・脂身の多い肉ばかりに偏らない
・揚げ物や加工食品ばかりにならないようにする
・肉、魚、卵、大豆製品などを組み合わせる
・野菜や海藻なども一緒に食べる
といった考え方です。
「良い油をたくさん摂れば健康になる」というものでもありません。
脂質はエネルギー量の高い栄養素でもあるため、量とバランスの両方を考えることが大切です。
今日からできる「油」の見直し
まずは、難しく考えなくても大丈夫です。
今日の食事を思い出してみてください。
肉が続いているなら、次は魚にしてみる。
魚を選ぶなら、サバやイワシ、アジなどの青魚を取り入れてみる。
サプリメントだけに頼るのではなく、できる日は食材そのものから摂ってみる。
そして、
「油は悪い」
と全部避けるのではなく、
「今日はどんな油を摂っただろう?」
と考える習慣をつくる。
それだけでも、毎日の食材選びは少しずつ変わっていきます。
まとめ
今回の医学対談では、
肉の脂と青魚の油の違い
について先生からお話を伺いました。
先生が特にすすめていたのが、DHAやEPAを含む青魚です。
そして、DHA・EPAだけをサプリメントで摂るのではなく、
できるだけ食材そのものから摂る
という考え方も紹介されていました。
一方で、
「肉は悪い」
「魚だけ食べればいい」
という極端な考え方をする必要はありません。
大切なのは、
食事全体の中で、どんな脂質をどのくらい摂っているのかを意識すること。
昨日はお肉だったから、今日は魚にしてみよう。
最近魚を食べていないから、今日はサバを選んでみよう。
そんな小さな選択の積み重ねから、毎日の食生活を見直してみてはいかがでしょうか。

