腸活で一番大切なのは、善玉菌だけではなく「多様性」
※このシリーズは専門医から教わったことをコラムにしてます
〜乳酸菌を摂るだけでは足りない?本当に大切な腸内環境の整え方〜
「腸活のために、毎日ヨーグルトを食べています」
「乳酸菌のサプリメントを飲んでいます」
「発酵食品を積極的に摂っています」
最近では、「腸活」という言葉が当たり前に使われるようになりました。
腸内環境を整えることは、毎日の健康や美容を考えるうえで、とても大切です。
しかし、「腸活=善玉菌を増やすこと」と思っている方も多いのではないでしょうか。
もちろん、善玉菌は腸内環境を支える大切な存在です。
しかし、今回お話を伺った先生は、腸活についてこのように説明されていました。
「腸内環境で大切なのは、特定の善玉菌だけを増やすことではありません。一番大切なのは、多様性です」
多様性とは、簡単にいうと、
さまざまな種類の腸内細菌が、それぞれの役割を持ちながら働いている状態
のことです。
では、なぜ腸内細菌は「種類の多さ」が大切なのでしょうか。
今回は、先生のお話に出てきた「テニスコート」「会社」「作業員」という例えを使いながら、腸内環境について分かりやすくお伝えします。
腸を広げると「テニスコート約1面分」?
私たちのお腹の中にある腸。
普段は細長い管のように見えますが、その内側には細かなひだや突起がたくさんあります。
先生は、腸の広さについて、
「腸の表面を広げて考えると、テニスコートのような広い場所をイメージすると分かりやすい」
と説明されていました。

その広い場所では、毎日たくさんの仕事が行われています。
食べたものを消化する。
必要な栄養を身体に取り込む。
身体にとって不要なものを外へ出す。
外から入ってきたものを見分ける。
そして、その広い腸の中で働いているのが、腸内細菌です。
先生は、腸内細菌を、
「腸という大きな場所で働く作業員」
に例えていました。
食べ物が入ってくると、それぞれの菌が自分の得意な仕事をします。
ある菌は食物繊維を利用する。
ある菌は発酵に関わる。
ある菌は別の菌がつくったものを利用する。
それぞれ違う役割を持ちながら、腸内では複雑なチームワークが生まれています。
つまり、腸内環境を整えるとは、単に「良い菌を入れること」ではありません。
腸という大きな職場で、さまざまな作業員が働きやすい環境を整えること
なのです。
善玉菌は、多ければ多いほど良い?
腸内細菌は一般的に、
・善玉菌
・悪玉菌
・日和見菌
などに分けて説明されることがあります。
そのため、
「善玉菌をたくさん増やせば、腸内環境は良くなる」
と思われがちです。
しかし、先生はここで、とても分かりやすい例えをされていました。
「社員が100人いる会社で、全員が営業だったら会社は成り立たないですよね」
どれだけ優秀な営業担当者が集まっていても、会社にはほかの仕事も必要です。
商品をつくる人。
お客様をサポートする人。
数字を管理する人。
人を育てる人。
会社全体を整える人。
それぞれの役割を持つ人がいるから、会社は安定して動きます。
腸内環境も同じです。
一種類の菌だけがたくさんいるよりも、さまざまな種類の菌が存在し、それぞれの役割を果たしていることが大切です。
これが、
「腸内細菌の多様性」
という考え方です。
「乳酸菌だけ」では腸活にならない?
乳酸菌は、腸活でよく知られている菌の一つです。
ヨーグルトや乳酸菌飲料、サプリメントなどを取り入れている方も多いでしょう。
もちろん、それらを否定する必要はありません。
ただし、
「乳酸菌を摂っているから、腸内環境は大丈夫」
とは限りません。
会社に例えるなら、
乳酸菌という一つの部署だけを増やしている状態かもしれません。
腸内では、それぞれの菌が単独で働いているわけではありません。
ある菌がつくったものを、別の菌が利用する。
さらに別の菌が、それを身体に役立つ形へ変える。
このように、菌同士が関わり合いながら腸内環境をつくっています。
だからこそ、一種類だけに注目するのではなく、
「いろいろな菌が暮らしやすい環境をつくる」
という視点が大切なのです。
食物繊維は、善玉菌の「ごはん」
では、腸内細菌の多様性を支えるためには、何をすればよいのでしょうか。
先生のお話の中で大切なポイントとして挙げられていたのが、
食物繊維
です。
食物繊維は、腸内細菌のエサとして利用されるものがあります。
つまり、腸内細菌を「作業員」に例えるなら、食物繊維は作業員が働くための「ごはん」です。
どれだけ良い菌を取り入れても、菌が利用できるものが不足していれば、十分に働けない可能性があります。
野菜だけでなく、
・海藻
・きのこ
・豆類
・いも類
・果物
・穀類
など、さまざまな食品を組み合わせることが大切です。
ポイントは、
「一つの食品だけを毎日食べ続ける」のではなく、いろいろな食品を食べること。
食材の多様性は、腸内細菌の多様性を支えることにもつながります。
発酵食品は「働く力」を支える存在
先生は、食物繊維だけでなく、発酵食品についても分かりやすく説明されていました。
食物繊維が腸内細菌の「ごはん」だとすれば、発酵食品は、菌が働きやすい環境を支える存在として考えることができます。
例えば、
・味噌
・納豆
・ぬか漬け
・ヨーグルト
・キムチ
などがあります。
ただし、大切なのは、
「発酵食品を一つ食べれば大丈夫」
という考え方ではありません。
食物繊維を含むさまざまな食材と、発酵食品を日々の食事の中で組み合わせる。
その積み重ねが、腸内細菌が働きやすい環境づくりにつながります。
腸活は「食べるもの」だけではない
腸活というと、多くの方が、
「何を食べればいいですか?」
と考えます。
もちろん食事は大切です。
しかし、腸内環境は食事だけで決まるものではありません。
先生のお話では、
・食事の時間
・睡眠
・運動
・呼吸
・身体の冷え
など、毎日の生活全体も腸内環境を考えるうえで大切だと説明されていました。
どれだけ身体に良いものを食べていても、
睡眠不足が続いている。
ほとんど身体を動かしていない。
強いストレスを抱えている。
食事を極端に抜いている。
身体がいつも冷えている。
このような状態では、身体全体のバランスも崩れやすくなります。
腸だけを切り離して考えるのではなく、
身体全体を整えることも腸活の一部
なのです。
温活と腸内環境
冷たいものを食べたり飲んだりした後に、
「お腹が冷えた」
「お腹がゴロゴロする」
と感じた経験はありませんか。
先生は、腸を考えるとき、
「口から入るものだけでなく、身体の外側や、熱をつくる力にも目を向けることが大切」
と話されていました。
冷たい飲み物を控えることも一つですが、それだけではありません。
筋肉量が少なく、身体の中で熱をつくる力が弱くなっている場合もあります。
そのため、
・適度に身体を動かす
・湯船につかる
・温かい食事を選ぶ
・よもぎ蒸しなどの温活を取り入れる
など、身体全体を心地よく温める習慣も大切です。
ただし、よもぎ蒸しだけで腸内環境が改善するという意味ではありません。
よもぎ蒸しは、身体をじんわり温め、自分自身と向き合う時間をつくる温活の一つです。
食事や睡眠、運動などと組み合わせながら、身体全体を整えることが大切です。
今日からできる「多様性を意識した腸活」
腸活は、特別な食品を一つ取り入れることではありません。
まずは、次のような小さな習慣から始めてみましょう。
① 毎日同じものだけでなく、さまざまな食材を食べる
② 野菜・海藻・きのこ・豆類などを組み合わせる
③ 味噌や納豆などの発酵食品を無理なく取り入れる
④ 極端に食事を抜かず、自分に合った食生活を考える
⑤ 睡眠時間を確保する
⑥ 適度に身体を動かす
⑦ 身体を冷やしすぎず、温活を取り入れる
すべてを一度に始める必要はありません。
「今日は昨日と違う野菜を一つ食べてみよう」
それだけでも、多様性を意識した腸活の第一歩です。
まとめ
腸活で大切なのは、
「善玉菌をたくさん増やすこと」
だけではありません。
腸の中には、さまざまな役割を持つ腸内細菌が暮らしています。
会社に、
営業、
経理、
商品開発、
お客様サポート、
人事など、
さまざまな役割が必要なように、
腸内環境にも、多様な菌が必要です。
だからこそ、
一種類の乳酸菌だけに頼るのではなく、
さまざまな食材を食べ、
食物繊維や発酵食品を取り入れ、
よく眠り、
適度に身体を動かし、
身体を冷やしすぎない。
毎日の生活全体を整えることが、本当の意味での腸活につながります。
腸活は、
「何を一つ足せばいいか」
ではなく、
「さまざまな菌が心地よく働ける環境を、どう育てていくか」
という考え方です。
今日から、善玉菌の「数」だけではなく、
腸内細菌の「多様性」にも目を向けてみませんか。

