【医学コラム Vol.22】女性に多い「隠れ貧血」とは?

女性に多い「隠れ貧血」とは?疲れやすさと鉄不足の本当の関係


※このシリーズは予防医学の専門医から教わったことをコラムにしてます

目次

〜赤血球は酸素を運ぶトラック。道下先生に聞く、女性の貧血と身体の仕組み〜

「しっかり寝ても疲れが取れない」

「朝起きるのがつらい」

「立ち上がるとふらつく」

「健康診断では異常がないのに、なんとなく身体がだるい」

こうした不調を感じている女性は少なくありません。

特に40代・50代になると、疲れやすさを年齢や更年期のせいだと考えてしまうこともあります。

しかし、その背景には鉄不足や貧血、低血圧など、さまざまな原因が隠れている可能性があります。

今回、医師の道下先生との対談では、女性に多い貧血について、身体の仕組みから詳しくお話を伺いました。

その中で印象的だったのが、

「赤血球は酸素を運ぶトラックです」

という例えです。

貧血を考えるうえで大切なのは、鉄を摂ることだけではありません。

身体がどのように赤血球をつくり、酸素を運んでいるのか。

今回は、道下先生のお話をもとに、女性の疲れやすさと鉄不足の関係を解説します。


1. 「隠れ貧血」とは?数値に出ない貧血はあるのでしょうか?

対談の中で、まず道下先生に質問したのが、

「女性には、健康診断の数値には出ない隠れ貧血の人が多いと聞きますが、本当ですか?」

ということでした。

先生は、まず貧血と似た症状を起こす別の原因を区別することが重要だと説明されました。

例えば、

  • 朝起きられない
  • 立ちくらみがする
  • 疲れやすい
  • 身体がだるい

こうした症状は、必ずしも貧血だけで起こるわけではありません。

低血圧や低血糖などが関係している場合もあります。

一方、医学的には、ヘモグロビン値が正常でも身体の貯蔵鉄が不足している「潜在性鉄欠乏」という状態があります。

一般的に、これを隠れ貧血と呼ぶことがあります。

そのため、通常の健康診断で異常がない場合でも、鉄不足が完全に否定されるわけではありません。

大切なのは、症状だけで自己判断しないことです。


2. 赤血球は「酸素を運ぶトラック」

道下先生は、赤血球の働きを非常に分かりやすく説明してくださいました。

「赤血球は、酸素を運ぶトラックです」

私たちは呼吸によって酸素を取り込み、その酸素を血液によって全身へ運んでいます。

赤血球には、酸素と結びつくヘモグロビンというたんぱく質が含まれています。

このヘモグロビンが、肺で取り込んだ酸素を身体の各組織へ届ける役割を担っています。

身体を一つの街に例えてみましょう。

心臓や筋肉、脳などの細胞は、それぞれ活動するために酸素を必要としています。

赤血球は、その酸素を届ける配送トラックのような存在です。

トラックが十分に働いていれば、各組織へ酸素を届けることができます。

しかし、ヘモグロビンが不足すると、酸素を運ぶ能力が低下します。

これが貧血によって疲労感や息切れが生じる理由の一つです。


3. 鉄はトラックをつくるための大切な材料

では、赤血球が酸素を運ぶためには、何が必要なのでしょうか。

その重要な材料の一つが「鉄」です。

鉄は、ヘモグロビンを構成する成分として欠かせません。

道下先生は、赤血球をつくる仕組みについても、工場の例えを使って説明されていました。

ここで知っておきたいのは、赤血球は主に骨髄でつくられるということです。

また、腎臓は「エリスロポエチン」というホルモンを分泌し、赤血球の産生を調節しています。

つまり、赤血球をつくるには、鉄という材料だけでなく、骨髄や腎臓などの働きも関係しているのです。

例えば、腎機能が低下すると、エリスロポエチンの産生が不足し、貧血につながる場合があります。

このように、貧血の原因は鉄不足だけではありません。


4. 鉄分を摂っているのに貧血になるのはなぜ?

対談の中で、道下先生が繰り返し強調されていたのが、

「鉄を摂ることだけを考えるのではなく、身体全体の仕組みを見ることが大切」

という考え方でした。

鉄分を十分に摂取していても、貧血が起こる場合があります。

例えば、胃腸の病気などによって鉄を十分に吸収できない場合。

月経などによって、摂取量以上の鉄が失われている場合。

慢性的な炎症や腎臓の病気などが関係している場合です。

貧血の原因によって、必要な治療は異なります。

そのため、鉄剤やサプリメントを飲んでいるのに改善しない場合には、量を増やす前に原因を調べることが重要です。


5. 現代女性は食事量が不足していることも

道下先生は、現代女性の食生活についてもお話しされていました。

特に、食事回数が少ないことや、十分な栄養を摂れていない女性がいることを指摘されていました。

例えば、

朝食を食べない。

昼食は軽く済ませる。

夕食もダイエットを意識して控える。

こうした生活が続くと、鉄だけでなく、たんぱく質やビタミンなど、身体に必要な栄養素が不足する場合があります。

赤血球をつくるためには、鉄のほかにもビタミンB12や葉酸などが必要です。

健康的な身体づくりのためには、特定の栄養素だけを補うのではなく、毎日の食事全体を見直すことが大切です。


6. 鉄剤は腸内環境に影響するのでしょうか?

今回の対談では、鉄剤と腸の関係についても話題になりました。

道下先生は、鉄剤を使用した際の胃腸への負担を気にされていました。

実際に、飲み薬の鉄剤では、便秘、吐き気、腹部不快感などの副作用が起こる場合があります。

また、便が黒くなることもあります。

ただし、こうした副作用があるからといって、鉄剤が必ず腸内環境を悪化させるわけではありません。

鉄欠乏性貧血に対して、鉄剤は有効性が確立された治療法です。

副作用がつらい場合には、医師に相談することで、製剤や服用方法を調整できる場合があります。

自己判断で服用を中止せず、必要な治療を続けることが大切です。


7. コーヒーや緑茶は鉄不足と関係する?

道下先生との対談では、普段飲んでいる飲み物についてもお話がありました。

特に先生は、コーヒーや緑茶などを日常的に多く飲む習慣に注意を促されていました。

ここで知っておきたいのが、鉄の吸収と飲み物の関係です。

コーヒーやお茶に含まれるポリフェノールの一部には、植物性食品などに含まれる非ヘム鉄の吸収を妨げる作用があります。

ただし、カフェインそのものが鉄を身体の外へ追い出すというわけではありません。

鉄不足が気になる場合には、鉄を多く含む食事と濃いコーヒーやお茶を同時に摂る習慣を見直すことが役立つ場合があります。

また、カフェインの摂りすぎは睡眠に影響することもあります。

先生が対談で伝えられていたように、嗜好品として楽しみながら、飲む量や時間帯を意識することも大切です。


8. 鉄瓶や南部鉄器は鉄分補給に役立つ?

対談の中では、昔ながらの鉄瓶についても質問がありました。

道下先生は、鉄瓶を生活に取り入れることについて肯定的にお話しされていました。

実際に、鉄瓶でお湯を沸かすと、条件によっては鉄が湯に溶け出すことがあります。

ただし、その量は鉄瓶の材質や内面加工、水質、使用方法などによって異なります。

鉄瓶を使うだけで必要な鉄分を十分に補えるとは限りません。

鉄不足がある場合には、食事や必要な治療を基本とし、鉄瓶は補助的な工夫として考えるとよいでしょう。


9. 貧血と低血圧は同じではありません

道下先生が対談で強調されていたもう一つのポイントが、貧血と低血圧の違いです。

どちらも立ちくらみやだるさなど、似た症状を起こすことがあります。

しかし、原因は異なります。

貧血は、血液中のヘモグロビン濃度が低下した状態です。

一方、低血圧は、血圧が低い状態を指します。

また、低血糖でも、ふらつきや疲労感が起こる場合があります。

そのため、「立ちくらみがするから鉄分を摂ろう」と自己判断するのではなく、原因を確認することが大切です。


10. 隠れ貧血が気になる方は何を検査すればいい?

隠れ貧血が気になる場合、重要な検査の一つが「フェリチン」です。

フェリチンは、身体に蓄えられている鉄の状態を知るための指標です。

ヘモグロビン値が正常でも、フェリチンが低下している場合があります。

ただし、フェリチンは炎症などの影響も受けるため、医師がほかの検査結果と合わせて判断します。

疲れやすさが続く場合や、月経量が多い場合には、医療機関で相談してみましょう。

また、閉経後の鉄不足や、便に血が混じる場合には、消化管からの出血などの確認が必要です。


よくある質問

Q. 鉄分を摂れば疲れやすさは改善しますか?

鉄不足が原因であれば、適切な治療によって改善する可能性があります。ただし、疲労感にはさまざまな原因があるため、鉄分を摂るだけですべての疲れが改善するわけではありません。

Q. よもぎ蒸しで貧血は改善しますか?

よもぎ蒸しによって貧血や鉄不足が改善するという十分な医学的根拠はありません。貧血の症状がある方は、医療機関で原因を確認し、温熱によるめまいや気分不良にも注意してください。


まとめ|鉄を摂るだけでなく、身体の仕組みを知ることが大切

今回の道下先生との対談で、特に印象的だったのは、

「赤血球は酸素を運ぶトラック」

という例えでした。

そして、鉄はそのトラックが酸素を運ぶために欠かせない材料の一つです。

しかし、鉄不足や貧血を考えるときには、鉄の摂取量だけではなく、食事、吸収、月経による鉄の喪失、赤血球をつくる身体の働きなど、さまざまな視点が必要です。

また、疲れやすさや立ちくらみの原因が、必ずしも貧血とは限らないことも大切なポイントです。

年齢や更年期のせいだと決めつけず、自分の身体の状態を正しく知ること。

それが、健康づくりの第一歩になります。

よもぐるみでは、よもぎ蒸しによる温活だけでなく、食事・運動・睡眠など、女性の健康を多角的に考える情報をお届けしていきます。

身体を整えるために、まずは自分の身体を知ることから始めてみませんか。


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