リーキーガットとは?
※このシリーズは専門医から教わったことをコラムにしてます
〜腸の「バリア機能」から考える、身体を守る腸活〜
「腸活をしているけれど、なかなか身体の変化を感じない」
「食事に気をつけているのに、お腹の調子が安定しない」
「最近、“リーキーガット”という言葉をよく聞くけれど、どういう意味なの?」
美容や健康に関心のある方なら、一度は「リーキーガット」という言葉を目にしたことがあるかもしれません。
リーキーガットは、英語で、
Leaky Gut(リーキーガット)
と書きます。
「Leaky」は「漏れやすい」、
「Gut」は「腸」
という意味です。
日本語では、
「腸管壁浸漏」
などと表現されることがあります。
簡単にいうと、腸のバリア機能が弱くなり、本来は腸の中にとどまるものが、身体の内側へ通りやすくなっている状態を指す言葉です。
ただし、リーキーガットという言葉は、インターネットやSNSで非常に幅広く使われています。
「疲れやすいのはリーキーガット」
「肌荒れはすべて腸漏れが原因」
「小麦をやめれば治る」
という情報も見かけますが、身体の不調にはさまざまな原因があります。
一つの症状だけで「リーキーガットです」と判断することはできません。
今回は、先生のお話に出てきた「テニスコート」「トンネル」「作業員」という例えを使いながら、腸のバリア機能について分かりやすくお伝えします。
腸は「テニスコートを内側に巻いたトンネル」
前回のコラムでは、腸の内側にはたくさんのひだや絨毛があり、とても広い表面積を持っていることをご紹介しました。
先生は、その腸の構造を、
「大きなテニスコートを、くるっと内側に巻いてトンネルにしたようなもの」
と例えていました。
想像してみてください。
広いテニスコートを丸めて、一本の長いトンネルをつくります。
そのトンネルの中を、毎日食べ物や飲み物が通っていきます。
腸は、その中から、
「これは身体に必要な栄養」
「これは外へ出すもの」
と判断しながら、必要なものを身体の内側へ取り込んでいます。
つまり腸は、何でも身体の中へ通す場所ではありません。
必要なものを選び、不要なものが簡単に入り込まないように守る、
大きな“関所”のような役割
も担っています。
腸の中では「作業員」が働いている
腸のトンネルの中では、たくさんの腸内細菌が暮らしています。
先生は、腸内細菌を、
「腸の中で働く作業員」
に例えていました。
食べ物が入ってくると、
ある菌は食物繊維を利用する。
ある菌は発酵に関わる。
ある菌は、別の菌がつくったものを利用する。
それぞれが異なる仕事をしながら、腸の環境を支えています。
さらに、腸の表面に小さな傷やダメージが起きたときには、身体にはその状態を守り、修復しようとする仕組みがあります。
健康な腸では、
必要な栄養を取り込み、
不要なものは通しにくくし、
身体を守る働きが保たれています。
しかし、さまざまな要因が重なることで、腸のバリア機能が弱くなることがあります。
リーキーガットは「トンネルが傷ついた状態」
先生は、リーキーガットをとても印象的な例えで説明されていました。
「腸のトンネルの内側が傷だらけになっている状態」
です。
腸の中には、消化途中の食べ物や細菌、その細菌がつくる物質など、さまざまなものがあります。
本来、腸のバリア機能が保たれていれば、身体に必要なものを選びながら取り込むことができます。
しかし、腸の表面がダメージを受け、バリア機能が弱くなると、本来は簡単に通らないものまで身体の内側へ移動しやすくなる可能性があります。
先生は、この状態を、
「傷のある手で、汚れたものに触れているようなイメージ」
と説明されていました。
健康な皮膚であれば、外からの刺激を守るバリアになります。
しかし、手にたくさんの傷がある状態では、同じものに触れても刺激を受けやすくなります。
腸も同じように、表面のバリア機能が弱くなると、身体は外から入ってきたものに反応しやすくなる可能性があります。
なぜ腸の問題が全身に関係するの?
「腸のバリア機能が弱くなっても、お腹の問題だけではないの?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、腸は食べ物を消化するだけの臓器ではありません。
腸は、
・栄養を取り込む
・不要なものを排出する
・免疫機能に関わる
・腸内細菌と共に身体の環境を支える
など、さまざまな役割を担っています。
そのため、近年では腸内環境と、
・免疫
・代謝
・肌
・脳
・気分
・睡眠
などとの関係についても研究が進められています。
「腸脳相関」という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。
腸と脳は、それぞれ別々に働いているのではなく、神経やホルモン、免疫などを通して互いに影響し合っていると考えられています。
ただし、
「肌荒れの原因はすべて腸」
「気分の落ち込みはすべてリーキーガット」
という意味ではありません。
身体の不調には、睡眠不足、ストレス、ホルモンの変化、食生活、病気など、さまざまな原因があります。
腸は身体全体と関わる大切な臓器だからこそ、一つの原因に決めつけず、全体を見ることが大切です。
リーキーガットは、どんな症状が出るの?
リーキーガットについて調べると、
「お腹の張り」
「便秘」
「下痢」
「疲れ」
「肌荒れ」
「頭がぼんやりする」
など、さまざまな症状が紹介されています。
しかし、これらはリーキーガットだけに起こる症状ではありません。
例えば、疲れやすさは睡眠不足や貧血、ストレスなどでも起こります。
お腹の張りや便通の変化も、食事内容や生活習慣、消化器の病気など、さまざまな原因が考えられます。
そのため、症状だけを見て自己判断するのではなく、不調が長く続く場合や症状が強い場合は、医療機関へ相談することも大切です。
「グルテンフリーにすれば大丈夫」は本当?
リーキーガットについて調べると、
「小麦をやめましょう」
「グルテンフリーにしましょう」
という情報をよく見かけます。
先生は、この考え方について、
「全員がグルテンを避ければ良いわけではありません」
と話されていました。
グルテンは、小麦などに含まれるたんぱく質の一種です。
パンのもちもちとした食感や、麺の弾力にも関わっています。
もちろん、小麦やグルテンによって明確な症状が出る方や、医療的に除去が必要な方もいます。
しかし、すべての人にとってグルテンが悪いわけではありません。
先生は、
「たまたま腸の傷にグルテンが刺激となる人なら、減らすことで体調が変わる可能性はあります。しかし、原因が別にある人は、グルテンだけを減らしても変化しないことがあります」
と説明されていました。
大切なのは、
流行しているから全員が同じ食品を抜くことではなく、自分の身体に合っているかを見ること
です。
腸を整えるために大切なこと
腸のバリア機能を考えるとき、
「何を食べないか」
だけに注目しがちです。
しかし、本当に大切なのは、腸内細菌を含めた腸の環境全体を整えることです。
例えば、
・さまざまな食材を食べる
・野菜、海藻、きのこ、豆類などから食物繊維を摂る
・発酵食品を無理なく取り入れる
・極端な食事制限を続けない
・睡眠時間を確保する
・適度に身体を動かす
・ストレスをため込みすぎない
・身体を冷やしすぎない
など、毎日の生活習慣が土台になります。
腸活は、特別な食品やサプリメントを一つ取り入れることだけではありません。
身体全体を整えながら、腸が働きやすい環境を育てていくことが大切です。
よもぎ蒸しと腸内環境
先生のお話では、
「腸は口から入るものだけでなく、身体全体の状態も含めて考えることが大切」
という考え方がありました。
身体が冷えている。
運動不足で筋肉量が少ない。
睡眠が足りていない。
ストレスで呼吸が浅くなっている。
このような状態は、腸だけではなく、身体全体の調子にも影響します。
よもぎ蒸しは、リーキーガットを治療するものではありません。
また、よもぎ蒸しによって腸の傷が修復されると断定できるものでもありません。
しかし、身体をじんわり温め、自分のためにゆっくり過ごす温活の時間は、生活習慣を見直すきっかけの一つになります。
食事だけに頼るのではなく、
睡眠、
運動、
休息、
温活。
さまざまな角度から、自分の身体を整えていくことが大切です。
まとめ
リーキーガットとは、
腸のバリア機能が弱くなり、本来は簡単に通さないものまで身体の内側へ移動しやすくなる状態を表す言葉です。
先生の例えでいうと、
腸は、
「テニスコートを内側に巻いた大きなトンネル」
です。
そのトンネルの中では、たくさんの腸内細菌という作業員が働いています。
健康な腸では、
必要な栄養を取り込み、
不要なものを外へ出し、
身体を守る働きが保たれています。
しかし、トンネルの内側が傷つき、バリア機能が弱くなると、身体全体に影響する可能性があります。
だからこそ、
「小麦だけをやめる」
「乳酸菌だけを摂る」
「サプリメントだけに頼る」
のではなく、
食事、睡眠、運動、休息、温活など、生活全体を見直すことが大切です。
腸は、毎日休むことなく働き続けています。
身体の不調を一つの原因に決めつけるのではなく、
「今の自分の身体は、どんな環境を必要としているのだろう?」
と、自分自身に目を向けること。
それが、本当の腸活の第一歩なのかもしれません。

